ひつじの野望-創作編-

一夜にて・・・。

これは、仕事関係の年配者から聞いた話です。
仕事は、建築の方ですよ、念の為。

その方が、全盛期の若い頃のこと。
友人の解体業者が、東京の多摩地区で、古い日本家屋を解体してたそうです。
その人も、手伝いに駆り出されて、一緒にやってたそうで、
かなりの広さの屋敷で、日数のかかるものでした。
その当時、トイレは、屋外にあるものでした、
トイレは、不浄のものって考えられてたからね。
そこの家のトイレも、例外に漏れずに、外にあったのだけど、
中が問題だった、そこの家の老婆が、使った紙を、便壷に入れないで、
そのまま、隣の小便側の部屋の壁にポイ捨てしてて、
小便側が、紙で埋まってたらしい。
家屋側を順調に壊したけれど、そっちは、、誰も手を付けなかった。
そして、母屋の解体が終わった日、明日は、トイレ壊して全部終了だなって話で、
でも、何か嫌だよなぁって話つつ、帰ったそうです。
翌朝、現場へ行ってみると、なんと・・・・。
トイレそのものが無い。
みんなで呆けてたけど、隣の家の奥さんへ、聴きにいったそうだ。
お隣さん曰く、「昨日はあったよねぇ？私も見たもの。」と、
小さくても建物ですから、壊すにしても、音出ますし、
吊って持っていくなんて出来ませんし、するにしても、トラック着けるのに、
当然音が出ます、お隣さんは、静かな夜だったといってますので。

一夜で消えた、不浄なるもの・・・ということで。
そんな不思議なお話でした。

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