ブログパーツに付いては、
実験でやってる場合有り。
ひつじの野望編 書きかけのまとめみたいな 雑記の場みたいな・・・。
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序幕
夜の闇の中、路地の外れにBARがある。
バックバーには、大量の洋酒瓶が並ぶ、この世の酒は、全部揃ってると、
毎度、豪語するマスターの、証拠とも言うべき品々だ。
一見、草臥れた中年にしか見えないマスターが一人居るだけの店。
店の概観からは解らないが、一歩店内に入ると、その店内の広さに驚く。
建物外観と、中の広さが一致しないのだ、何とも不思議であり、訝しげだ。
ここで一つ、最近巷で、流布されてる噂がある。
こんな感じだ「路地裏の、酒場に居るマスターは、何でも望みを叶えてくれる。」
噂の出所は不明だが、この話は、最近出歩いてる様で、誰しも知ってる噂となっている。
そのまま聞くだけでは、単なる都市伝説にしか聴こえないが、
店は実際するし、マスターも実際する、これは事実だ。
このマスターが、BARの経営の傍らで、密かに担ってる仕事があるらしい、
それが、噂として、広まってる様で、時折、真剣な面持ちで、店にやってくる者もいる。
飽く迄噂に過ぎないが、何でも願いを叶えると言う事らしい。
願いと言うよりも、願望の方が強いらしいが、噂の域を出ない。
そんな折、偶々マスターと、女性客との会話が、零れてきたのを聞けた。
見た所、20代半ばのOL風の女性だ。
女性客「あの、こちらで、願いを叶えてくれると、聞きまして、来たのですが。」
マスター「いらっしゃいませ、何かお飲み物を、ご用意致しますので、今しばらくお待ち下さい。」
女性客「え、私は、飲みに来たのでは無く、願いを叶えて貰いにきたのよ!」
語尾が荒げている、だから、私に聞こえたのかも知れない。
マスター「そう、焦らずに、落ち着いて下さい、他のお客様に聞かれたら困るのは?」
と、にっこりな笑みのマスター。
女性客「え、えぇ、それは、そうなんだけど!、だから早く何とかしてよ。」
マスター「仕方ありませんね、では、承知しましたので、別室でお話を。」
女性客「それが、解ってるなら、さっさとして頂戴よ、何処へ行けばいいのよ!」
荒れてんなぁ。
喚く女性客を促し、奥への扉を開け、追いやったマスター。
戻るなり、私に言った。
マスター「今の会話、聞こえてましたね、忘れてくれ、とは申しませんが、お気に為さらずに。」
そう言われたら、気になるじゃないか、雰囲気で解ったのだろう、マスターが続けた。
マスター「興味、持たれて仕舞った様ですね、では、閉店までお待ち下さい。」
それだけを告げると、カウンターの奥で、ボトルと氷を用意して、戻ってきた。
マスター「これで、閉店までの、あと5時間お待ち下さい、サービスですので、お気に為さらずに。」
と、笑顔で背を向けた。
これから、何が起こるのか、心躍らせつつ、まずは、飲むとしよう。
閉店までは、長いかも知れないから。
序幕-了-